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20020531
池波正太郎の「食卓の情景」を読んでいる。
私はまだ、時代ものの小説の面白さはわからないので彼の作品を読んだことはないのだけれど、
エッセイはまた違った気持ちで面白く読めるかも、と思って。
先日行った美容院で渡されたクロワッサンが「あなたの心に残る本、映画特集」
だったのだが、そこでこの本が絶賛されていたのが気になって、帰りに迷わず買い求めたのだ。
購入の決め手となったのは、奥付に書かれていた「四十五刷」という文字。昭和五十五年が
初版とはいえ、これはすごい、きっと面白いに違いないと半ば確信。そしてそれは大当たりだった。
おいしいものを味わっているような楽しい気持ちになれる。
よく読む作家には、その人の日常生活にもつい感情移入してしまう。
昨日の夜も、ある作家の離婚を知ってショックを受けたばかり。エッセイに書かれていた
結婚生活の様子がとても大好きだったので、余計に。
今朝、思わずそのエッセイを読み返しなんともやりきれない気持ちになってしまった。
20020529
「ひな菊の人生」のおまけについてきた、奈良美智のイラストが描かれたポストカードは、ひな菊が友達のダリアを呼ぼうと
たて笛を吹いている絵が描かれていた。そのやさしい表情、色づかいを見ていたら
心がほっとしたのを感じた。
この効果を誰かに伝えたくて、遠くに住んでいる友達に送った。彼女も気に入ってくれて、
イラストを表にして部屋の壁にでも貼ってもらえたらうれしいなあ、と思いながら。
20020528
本屋へ行き、子どもの本のコーナーで、松谷みよ子の「ちいさいモモちゃん」シリーズを
読んでいたら、疲れきった自分の心を実感してなんだか涙が出そうになった。
そして単行本コーナーへ行き、吉本ばななの「ひな菊の人生」を手に取る。買いたくて毎月迷っていたもの。
「今こそこれを買ってもいい時じゃないか?」と自分に問いかけて、とうとうレジへ持っていったのだった。
ああ、これで今月は大物をすでに二冊買ってしまったよ・・・。
でも悔いはない。家に着いていそいそと包みを開けた時に、まだ中身をのぞきもしないうちから、
「ああ、買ってよかった!手に入れることができてうれしい」という気持ちがぐぐーっとこみ上げてきたから。
20020527
「たまもの」を買おうと金曜日の昼休みにいそいそと本屋に行ったら、そこには
最後の一冊しか残っておらず、立ち読みされてボロボロになっていたので(まあ、私もしたんだけど)、
土曜日に別の本屋で買った。
この本を読んだことで末井昭に興味がわき、「素敵なダイナマイトスキャンダル」(彼の母は浮気相手とダイナマイト心中したのだ)
の文庫を思わず注文してしまった。
20020523
文庫本が380円くらいで買えた昔・・・をふと思う。
帰り道、吉本ばななの「白河夜船」の一節が浮かんできて離れなくなったので部屋に戻ってから久しぶりに手に取った。
文庫になってからもう10年経つのか・・・。はじめて読んだ時、
主人公がとにかく寝てばかりいるところに妙に共感を覚えた記憶がある。
「車で送っていってあげましょう。」
店を出て、駐車場に向かいながら彼が言った。
「あなたの、その、何々しましょうっていう言い方って本当に好きよ。」
私は言った。
「そうでしょう。」
彼は笑い、
「それはちょっとニュアンスが違うみたいよ。」私も笑った。
(吉本ばなな「白河夜船」)
この「何々しましょう」のやさしい響きが私もとても好きになり、以来、自分でも時々誰かに使ってみたりしている。
20020522
久しぶりに胃腸を壊し中・・・。毎日のヨーグルトは欠かせない。
考えてみたらここのところ、自分にしては暴食だったなあ、と反省しつつふりかえる。
「ヨケイナモノヲイレナイデクダサイ!」という胃からの訴えが聞こえるようだ。
余分なものを食べるとその分身体の中が汚れていくような気がして不快なくせに、そういうものばかり食べていたような。
ミスチルのアルバムを聴きまくっている。まるで水が流れていくみたいにすーっと聴ける。
つっかかる部分がないというか。
それが心地いい。
20020521
最近とても好きになったのは、原由子の「花咲く旅路」という曲。歌詞にとにかく旅心を誘われる。
これを聴きながら景色なきれいなところを列車でガタゴト走ったらどんなに気持ちいいだろうな、と思う。
お弁当とお茶、本を持ってのんびり。
日本語がきれいで、何度でもかみしめたくなる。
鈴なりの花を摘み
吹く風に夏を知る
おだやかに ああ おだやかに
今 ぼんやり遠くをながめてる
はるかなる空の果て
想い出が駈けめぐる
なだらかな この なだらかな
名前さえ知らない 坂だけど
咲く紫は 旅路を彩どる
何処へと鳥は鳴き
夢出ずる国をゆく
世の中は ああ 世の中は
なぜ こんなに急いてと流れてく
今宵は 月が旅路を照らそうぞ
喜びが川となり
悲しみは虹を呼ぶ
道無きぞ この旅だけど
でも こんなに上手に歩いてる
稲穂の先が いつしか垂れコウベ
咲く紫は 旅路を彩どる
(作詞・作曲 桑田 佳祐)
20020520
いつも通っている図書館が一ヶ月くらい休館中なので、読む本に飢え本代がぐんぐんあがっている。
図書館早くカムバックプリーズ。
「たまもの」をまた立ち読みした。今度は別の本屋で。
前回は見つけられなかった、恋人との濃厚なキス写真なんかも見て、くらりとくる。
もしかしたら、こんな風に他人の私生活を見せられることがあまり好きではない人にとっては、この写真集は
受け入れ難いかもしれない。でも、私はとにかくどうしようもなくこの本にひきつけられた。
ただただ圧倒されたという方が正しいかもしれないけれど。
ごまかしのない、剥き出しの感情。それだけが持つ力。
そこから生まれたものを久しぶりに見たような気がしたのだ。
週末は、遠くに住んでいる友達と毎年恒例のデートをした。
一年ぶりでも特にイベントっぽくはしないのが、いい。まるでしょっちゅう会ってる仲みたいに、
ご飯を食べたり、カラオケに行ったり、買い物をしたり。
頻繁に会わなくてもすぐにこうやって「いつもの」感じになれる友達ってすごいと思う。そして、
本当に心を許しているとかえって愛想はよくなくて、どちらかというとぶっきらぼうなくらいになるんだなあ、と思った。
20020517
帰りに寄った本屋で、とてもとても欲しい本を見つけてしまった。
神蔵美子(かみくら・よしこ)著 「たまもの」。2800円也。
彼女が写した写真と日記で構成されているこの本は、単なる日記よりも
より生々しさをおびてこっちに迫ってくるような気がした。
ただ、好きな男性を写しているだけだったりするのに、どうしてこんなに伝わるものがあるのだろう。
写真の力・・・。
少し読んでは置き、他に目を向けようとして失敗してまた戻ってまた続きを読み・・・と
あやしい行動を繰り返してしまった。離れがたかったのだ。
あああ、この間CDを買わなければよかった。来週給料が出たらごほうびにするぞー。
20020515
この天候の不安定さのせいで、身体が用心深くなっているのを感じる。
暖かい日でもどこか疑いながら過ごしているのがわかるのだ。
そろそろ安心して身体がほっとできる日が続くようにならないかなあ・・・。
20020514
週末、ひっさしぶりにCDを買った。耳ざわりのよい曲がたくさん収められているもの。
さっそく職場で聴けるようにする。うれしい。
部屋にいるほとんどの時間、J-WAVEをかけるようになって(これって前好きだった人の
影響なんだけど、実は)、ふっとした時にかかる曲が妙に自分の中にしみる瞬間なんかが
あったりして気持ちいいし、新しい発見もあって楽しい。
20020513
母に貸していた「虹」をもう一度読む。
ああー、と思う。最初に読んだ時には気がつけなかった、この深いところに。響いてこなかった。
これは、と感じた本は一度さらりと読んでしまってからもう一度読み直すことが多い。
最初につかんだぼんやりとした輪郭を、もう一度読むことでくっきり濃くなぞり直していくような感じだ。
食べ物がその時々で味が違って感じられるように、本にも「読み頃」というのはある。
今このタイミングで読んだからこそ染み込んでいったのだなと思ったことが
今までに数え切れないほどあった。
そして、だんだん勘のようなものが研ぎ澄まされてくると、「今の自分には
あの本が効く」とわかってきたりするのだ。さらに冴えていると「あの本のあの部分」というところまで。
・・・・・・生きていくためには、淡々と仕事をして、浮ついた気持ちを持たないで、ややこしいことには
巻き込まれないで自分の足のついている地面をじっと見つめて歩いていくこと、そして毎日の生活と
自然の力からちゃんと幸福をもらって楽しい思いを忘れないこと・・・・・・
(吉本ばなな「虹」)
本を読むための椅子が欲しいなーっとぼんやり思う。ベッドの上で本棚に寄りかかって読むか、
床に座ってベッドに寄りかかって読むか、最近はベッドに寝そべって読んだりもしているのだけれど、
どの体勢も長時間やっているとくたびれるので。
20020510
自分がやれることを増やすということは、それだけ余裕の幅が広がるということだ。
どんな小さなことでもいい。今まで苦手だったことや、できなかったこと。
その分、もっと自分を頼りにすることができる。
自分の腕力、みたいなものが強くなってむくむく大きくたくましくなるイメージ。
今、私ができることは仕事の上で本当にちっぽけで、そのことに落ち込んだり悲しくなったり
情けなくなったりして、もうだめ、もう進めない、という気持ちにもしょっちゅうなるけれど。
でも、そんな時はちょっと昔の自分をひっぱりだしきて、客観的に今と比較してみる。
あれ?案外進歩してるんじゃな〜い?私ってば。と少しでも気持ちがぱっと明るくなって、
「うーん、しょうがないな(と、これくらいの気楽さがポイント)、もうちっとやってみっか」という
気持ちになればしめたもの。そしてまた、ちまちまと努力を始めるわけですね。
20020509
ビル内の掃除に来ている女性が3人いるのだが(ゴミ捨て、トイレ掃除、タバコ部屋の片付けと分担が
分かれている様子)、どうやらそのうちの一人と残り二人の仲が悪いらしい。
朝、まだビルが開いていないことがあって時々待つのだが、三人共来ているのに、その一人とは二人は口もきかないし、
挨拶もしない。今朝はその女性だけとおーくの方で待っていた。
こういうのって、見ているだけでなんだかつらい。
それぞれストレスが溜まっているんだろうなあ・・・働くってどんなことでも、小さなストレスの積み重ねや
大きなストレスのプレッシャーからは逃れられないんだなあ、と感じた瞬間だった。
そして、こんなににこにこしていて感じのいい人たちなのに、そこまで無視したりするようなこわいところも持っているんだなあ、
と二人を見ながら改めて人の二面性を実感もした。
20020508
連休中に図書館で増田みず子の本を2冊借りることができた。
「火夜」と「空から来るもの」。
「空から来るもの」の中で、主人公の美絵と夫の相原との結婚生活を描いた部分が心に残った。
美絵が望まれたのは、機嫌よく暮らすこと。相原といるのを喜ぶこと。思いやりを持つこと。
人の話をよく聞くこと。嘘をつかないとか、勝手にどこかへ行ってしまわないとか、一緒に
暮らせば要求されて当然のことは、あげればむろん他にいくらでもあったけれど。
そして、それらのことは、それこそ当然のように相原は美絵の手本になるような見事な
守り方をした。どんなに疲れても不機嫌な顔を見せなかったし、美絵のことをいつも気にして、
妻が一人でいる時間をできるだけ少なくしようとしていた。彼のすることはみんな、美絵を喜ばせるのが
目的だった。
(増田みず子「空から来るもの」)
ああ、理想的だ。でも、なんて息苦しいんだろう。「彼のすることはみんな、妻を喜ばせるのが目的だ」なんて。
美絵は結局、夫の思い通りにふるまえないことから気持ちのバランスを崩し、離婚して一人になる。
「一人にしないこと」なんて、そんな思いやりいらなかったのだ、彼女にはきっと。
「火夜」の中にも結婚について書かれた箇所が。
結婚というものは、よくも悪くも、互いの個性の毒素にまみれて暮らすことなのだろう。その毒素が
薬のように自分の体によく合うものなら、うまくいくし、体に合わない本当の毒素なら、破綻するのだろう。
人はただ生きてそこにいるだけで、その人に特有の毒素を発散している。
(増田みず子「火夜」)
毒素か・・・。みんながそれぞれ、自分は毒素を出しているのだと自覚することができれば、
もうちょっとだけ謙虚になって生きられる気がするんだけど。そしたらもっとなめらかに進む関係も
あると思うのだけれど。
20020507
連休は、睡眠と読書、お風呂。
たくさん眠ると、心身共に「栄養がいきわたった」という気がする。きちんと休んだと。
夜、遠くで若者たちがワーッと騒いでいたりするのが時々聞こえる。
そんな時に、部屋のベッドに平和に寝そべってのんきに本を読んでいる自分のことを、幸せだなあ、と思う。
とりあえず安全な場所にいるのだと、心から安心する。
今朝突然、村上春樹の「遠い太鼓」をまた読みたくなったので、今読んでいる途中の本と交換して
鞄に入れてきた。なんとなく今の気持ちにしっくりきそうな気がしたのだ。
こういう読み方って、きっとたくさん読みたい人にとっては「後退している」ようなものなんだろうな、
と思いつつ、でもとっても贅沢な読み方でもあるよね、と思ったりもする。食べたい時に食べたいものを食べる、に近い。
20020502
たかのてるこ(「ガンジス河でバタフライ」の著者)の
ページを見つけたので日記などを読んでみた。この人のパワーにはやっぱり脱帽。
楽しそうに暮らしている様子を読んでいるだけでなんだか元気になった。
「モロッコで断食」も読んでみたいな。でも単行本上下巻にはなかなか手が出ない・・・。
毎月、1日になると必ず、いそいそと
角川書店のページをチェックする。来月の文庫新刊一覧を見るために。昨日もさっそくチェックした。
そして、「つれづれノート」(11巻目)が
来月25日に出ることを確認。もう楽しみで仕方ない。はやくきてくれ、6月25日。
今月24日には、「つれづれノート」とは別に旅行記が出るのでそれも楽しみにしているのだけれど、
うーん、今回はかんちゃん(娘)とさくぼう(息子)と3人旅なのか・・・。
イカちん(夫)との関係がどうなっているのか、気になるところ。
彼女はとても気持ちがピン、と自立していて、本人も書いていたけれど、
別に結婚はしなくてもへっちゃらな感じがする。いわゆる世間が思うところの「結婚らしい結婚」は
まったく必要ないだろうなと思う。
増田みず子の作品は、すでに絶版になっているものがけっこうあったりして手に入れるのが難しそうだ。
まずは「月夜見」をネットで注文。ちょうど今日届くらしいので、連休中の楽しみにしようっと。
あとは、どれを読んでみたいのかがなかなか検討をつけにくいので、古本屋をまわって気長に探すことにする。
20020501
これからの目標。
「歯医者に行って泣いても許されるオバチャンになること」
はー、歯医者でやっぱり泣いてしまった・・・といっても嫌だとか痛いとかで泣いたわけではなく。
昔から、いろいろな器具を口に入れられるとどうしてもおえーっ、となってしまうのだ。
(嘔吐反射が人より激しい、ということらしい)
それで、涙目。
大人になったら治ると言われ続けてすでにこの年なので、これはもうよくはなっても
完全に治りはしないだろう。なので、オバチャンになって涙目になっても、あーあしょうがないな、と
思ってもらえるオバチャンに・・・なりたい。
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